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音楽

新世代への啓示:キング・クリムゾン・ベスト

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このページでは私の好きなバンド「キング・クリムゾン」のベスト・アルバムを紹介しています。このアルバムの原題は「A Young Person’s Guide to King Crimson」で、1975年11月にリリースされました。

クリムゾンは1974年11月に解散しており、このベスト・アルバムは、それまでに公開されていた次のアルバムから主な曲を収録しています。

  • クリムゾン・キングの宮殿
  • ポセイドンのめざめ
  • アイランド(イギリスのみ発売)
  • 太陽と戦慄
  • 暗黒の世界
  • レッド

キング・クリムゾンとは?

キング・クリムゾンは1966年の暮に「マイケル・ジャイルズ&フリップ」を母体として結成されました。レコード・デビューは1969年の「クリムゾン・キングの宮殿」でした。以後アルバムを発表するたびにメンバー・チェンジが行なわれました。メンバーの推移はとても複雑なので別の機会に譲ります。

特徴

ここでは、キング・クリムゾンの音楽性にスポットをあててみます。キング・クリムゾンの音楽は、即興(インプロヴィゼーション)を重視しています。彼らは、あらかじめ設定されたテーマを拡大しながら、アドリブによってお互いの感受性を表現し、クライマックスを構成する方向性を持っていたからです。

ミュージシャンとしてのテクニックは、いずれのメンバーも突き抜けたものをもっています。クリムゾンは、音に対するセンスと、アルバム作成上での大胆なアイディアとに比類ない能力を発揮しました。

技術的なものだけでなく、頭脳的集団としても、ずば抜けてプログレッシヴであったがために、メンバー1人1人の創造性の衝突を回避するのがとても困難だったといわれています。また、その困難を乗り越えたことはいうまでもありません。メンバー相互間のバランスが上手にとれた時は、とてつもないセンスとパワーを持った頭脳的音楽集団となりました。

キング・クリムゾンのサウンドは決して難しくありません。大きな特徴は音の一つ一つの存在感が大きい点です。そして、美しいメロディと陰影に富んだ深みのある詩による名曲が多いです。

音楽にしては怖いくらいの緊迫感を表していて、いくつかの曲ではクライマックスに達する迫熱の演奏が聴けます。彼らが最強の音楽的ショックを与えるバンドだといっても過言ではありません。

新世代への啓示:キング・クリムゾン・ベスト

公開時はLPレコード2枚組で発売されました。

この2枚組ベスト・アルバムはキング・クリムゾンが1974年11月解散時に残した9枚のアルバムのうち、6枚から選曲されています。この偉大なグループの傾向を把握するのに便利です。

「風に語りて」は未発表ヴァージョンで収録されています。更にシングルのB面として発表(日本では未発売)された「グルーン」も収録されています。

キング・クリムゾンの解散まで、唯一のオリジナル・メンバーとしてグループのイニシアティヴをとり続けたロバート・フリップは、1973年「太陽と戦傑」発表時のインタビューで次の様に語っています。「私はこれからの3年間をキング・クリムゾンに捧げようと思っています。たとえこのバンドが明日解散しても、私にとっては最も楽しく、創造性の豊かなバンドであることに変わりないので」。

1枚目1面

エビタフ(墓碑銘)

このアルバムのトップはバラードの名曲です。グレッグ・レイクのヴォーカルとメロトロンの音色が、この曲に幻想的な美しさを与えています。「クリムゾン・キングの宮殿」に収録。

  • ロバート・フリップ(ギター)
  • イアン・マクドナルド(ウッドウィンド、キーボード、メロトロン、ヴォーカル
  • グレッグ・レイク(ベース、リード・ヴォーカル)
  • マイケル・ジャイルズ(ドラムス、バーカッション、ヴォーカル)
  • ピーター・シンフィールド(詩、イルミネーション

ケイデンスとカスケイド

キング・クリムゾンの柔らかい、静の部分がこの曲で表現されています。アルバム「ポセイドンのめざめ」に収録。

  • ロバート・フリップ(ギター、セレステ、発案)
  • マイケル・ジャイルズ(ドラムス)
  • ピーター・ジャイルズ(ベース)
  • キース・ティベット(ピアノ)
  • メル・コリンズ(フルート)
  • ゴードン・ハスケル(ヴォーカル)
  • ピーター・シンフィールド(詩)

レディーズ・オブ・ザ・ロード

1975年当時にバッド・カンパニーのポズ・バレルがリード・ヴォーカルを務め、シニカルな感じがよく出ています。途中ではビートルズ的なコーラスが聴けます。後半のロバート・フリップの異様なトーンのギターは凄まじいです。アルバム「アイランド」収録。

  • ロバート・フリップ(ギター、メロトロン)
  • メル・コリンズ(サックス、ヴォーカル)
  • ボズ(ベース、リード・ヴォーカル)
  • イアン・ウォーレス(ドラムス、パーカッション、ヴォーカル)
  • ピーター・シンフィールド(詩、サウンド・ヴィジョンズ)

風に語りて

先述のとおり、未発表ヴァージョン。「クリムゾン・キングの宮殿」の中ではグレッグ・レイクがリード・ヴォーカルを務めましたが、ここではジュディ・ダイブル(Judy Dyble)という女性シンガーがフィーチュアされています。

  • ロバート・フリップ(エレクトリック・ギター)
  • イアン・マクドナルド(アコースティック・ギター、フルート、クラリネット、ヴォーカル)
  • ピーター・ジャイルズ(ベース)
  • マイケル・ジャイルズ(ドラムス)
  • ジュディ・ディブル(ヴォーカル)

1枚目2面

レッド

アルバム「レッド」収録。キング・クリムゾンの1974年解散時のラスト・アルバムは「キング・クリムゾン・USA」です。これはライヴなので、事実上のラストは「レッド」となります。このアルバムを発表後、彼らは正式に解散しました。この曲はタイトル曲で、荒々しいギターのリフレインを用いた荒々しいギターのリフレインを用いた衝撃的な曲です。

ロバート・フリップ(ギター)

ジョン・ウェットン(ベース、後にユーライア・ヒープ所属)

ビル・プラッフオード(バーカッション)

暗黒

同じくアルバム「レッド」収録。音楽の静と動の対比をあらわす傑作。イントロのまろやかなサウンドに続いて、ジョン・ウェットンの味わい深いヴォーカルを聴けます。やがて緊迫感を持った暴力的なクライマックスへ登りつめていきます。メル・コリンズのソプラノ・サックスが素晴らしいです。

  • ロバート・フリップ(ギター、メロトロン)
  • ジョン・ウェットン(ベース、ヴォイス)
  • ビル・プラッフォード(バーカッション)
  • メル・コリンズ(ソプラノ・サックス)
  • イアン・マクドナルド(アルト・サックス)
  • ロビン・ミラー(オーボエ)

2枚目1面

夜を支配する人々

アルバム「暗黒の世界」収録。吸い込まれそうに美しいイントロを持った曲です。中間部でのメロトロンが狂気じみています。後半では、わずかながら、たたみかける様なベースとドラムスのリズム・ワークの正確さが発生。ここに注目してください。

  • デヴィッド・クロス(ヴァイオリン)
  • ロバート・フリップ(ギター、メロトロン、ペダル・ハーモニウム)
  • ジョン・ウェットン(ベース、ヴォイス)
  • ビル・ブラッフォード(バーカッション)

土曜日の本

アルバム「太陽と戦慄」から。アルバム「アイランド」を発表してから、日本未発売の「アースパウンド」(ライヴ)を経て、オリジナル・メンバーのピート・シンフィールドも含めて4人のメンバーが脱退してしまいました。残されたロバート・フリップは必然的にグループの解散を余儀なくされました。その後に強力メンバーを集め、ニュー・キング・クリムゾンを結成しました。そのもとで発表したアルバムがこの曲を含む「太陽と戦慄」でした。メロトロンとヴァイオリンのからみが美しいです。

  • デヴィッド・クロス(ヴァイオリン)
  • ロバート・フリップ(ギター)
  • ジョン・ウェットン(ベース、ヴォーカル)
  • リチャード・パーマー・ジェイムズ(詩)

平和/テーマ

アコースティック・ギターを用いた美しい佳曲です。アルバム「ポセイドンのめざめ」収録。

  • ロバート・フリップ(ギター)

キャット・フード

アルバム「ポセイドンのめざめ」収録。前衛的なビアノに導かれて、グレッグ・レイクの力強いヴォーカルが聴けます。マイケル・ジャイルズのドラムスが小気味良いです。

  • ロバート・フリップ(ギター、発案)
  • マイケル・ジャイルズ(ドラムス)
  • ピーター・ジャイルズ(ベース)
  • キース・ティペット(ピアノ)
  • グレッグ・レイク(ヴォーカル)

グルーン

この曲は1970年3月に「キャット・フード」と共にシングルとしてリリースされました。ここではフリー・フォームなジャズ的な演奏が展開されています。

  • ロバート・プリップ(ギター)
  • ピーター・ジャイルズ(ペース)
  • マイケル・ジャイルズ(ドラムス)

太陽と戦慄パート1

イントロから聞こえる不気味な雰囲気を持ったテープは、ロバート・フリップと元ロキシー・ミュージックのブライアン・イーノとの共同製作です。デヴィッド・クロスのヴァイオリンが恐ろしいまでの緊迫感をつくり出しています。アルバム「太陽と戦慄」収録。

  • デヴィッド・クロス(ヴァイオリン、ヴォイス)
  • ロバート・フリップ(ギター)
  • ジョン・ウェットン(べース)
  • ビル・プラッフォード(ドラムス、ヴォイス)
  • ジェイミー・ミューア(バーカッション、ヴォイスなど)

2枚目2面

ムーンチャイルド

優しく優雅で、独特に美しさを讃えた曲であす。グレッグ・レイクのヴォーカルと、ギター、メロトロンとの調和が見事です。アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」収録。

  • ロバートフリップ(ギター)
  • イアン・マクドナルド(メロトロン、チューンド・パーカッション)
  • グレッグ・レイク(ベース、ヴォーカル)
  • マイケル・ジャイルズ(ドラムス、パーカッション)

トリオ

メロトロンとヴァイオリンによるメロディ・ラインにベースが加わり、文字通りトリオによる演奏になっています。かなり美しい曲です。アルバム「暗黒の世界」から。

  • デヴィッド・クロス(ヴァイオリン)
  • ロバート・フリップ(メロトロン)
  • ジョン・ウェットン(ベース)
  • ビル・プラッフォード(Admirable Restraint一賞賛に価する抑制)

クリムゾン・キングの宮殿

長いベスト・アルバムはエピタフからはじまり、クリムゾン・キングの宮殿で終わります。荘厳なコーラス、メロトロンの響き、アコースティック・ギターの美、どれをとっても無駄がありません。この曲を初めて聞いた時の衝撃と感動を私は今でも覚えています。今の若い世代の人たちが聴いても衝撃を受けるでしょう。キング・クリムゾンは時間を超越してプログレッシヴなのです。

  • ロバート・フリップ(ギター)
  • イアン・マクドナルド(フルート、キーボード、メロトロン、ヴォーカル)
  • グレッグ・レイク(ベース、リード・ヴォーカル)
  • マイケル・ジャイルズ(ドラムス、パーカッション、ヴォーカル)
  • ピーター・シンフィールド(詩、イルミネーション)

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