対前年比較に惑わされないTHE世界大学ランキングの見方
THE世界大学ランキングは、イギリスのタイムズ誌が運営するタイムズ・ハイアー・エデュケーションが作成している大学ランキングです。毎年公表されます。
説明はこちら。
この評価をもとに作成された日本大学ランキングはこちら。

この日本版サイトをはじめ、いろんな教育関係サイトで取り沙汰されているのが、THE世界大学ランキング2020年版で東大が6ランクアップの36位で京大が65位を維持したこと。
対前年比較ではランクアップとランクダウンの一喜一憂になりがちです。あたかも東京大学が大学評価で伸びている印象を受けてしまいます。
過去10年間で東大の推移をみると
THE世界大学ランキングの本家サイトでは、過去10年間の大学ランキングの推移をみることができます。たとえば東京大学はこちら。

これをもとにグラフを作成します。
東京大学のランキングは2011年から2020年までの間に、次のように変化してきました。縦軸は順位、横軸は西暦です。

東京大学の世界大学ランキングの推移
痛いくらいに東京大学は劣化しています。前年よりも6位ランクアップしたという言説がどれほどちっぽけなものか一目瞭然です。
2010年代前半の最低水準(2011年版の34位)に、2020年版で東京大学はほぼ再帰しただけの話だと分かります。このグラフからは、かつての二流大学が三流大学にまで落ちて、まさに今もがいているという風に読みとれます。
東京大学の弱み
なお、東京大学のランキングを下げているものは「Citations」、つまり論文などの被引用件数です。研究文献として東京大学所属の専任教員たちや専任研究者たちの著作物が役に立たなくなっていることが分かります。
項目別のランキングの推移は先に紹介した「The University of Tokyo | World University Rankings | THE」の左側項目で確認できます。「Overall」から「International Outlook」までのそれぞれをクリックするとグラフが変わっていきます。
東京大学の言い訳
「なぜ日本の大学は世界にこれほど遅れをとっているのか」という記事では、東京大学をはじめとする日本の大学ランキング低位について、次のような言い訳が述べられています。
人文学では、学生が国内で著名な学者と一緒に研究でき、「アメリカの有名教授たちとはそんなことができない」と北村は付け加えた。
出典 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191215-00000003-courrier-int&p=4
北村とは東京大学の北村准教授のことで、氏は「国内で著名な学者」と一緒に研究ができるとあります。国外で著名な学者よりも国内で著名な学者と一緒に研究できることは必要なことなのでしょうか?そして、素晴らしいことなのでしょうか?
さらに、日本の大学にあってアメリカの大学にないというだけで日本の大学の良さを説明したことになるのでしょうか?
東大が何を言ってもダメです。国内で著名(笑)、ははは、だからダメなんです。自作自演を居直ってどうするのでしょうか(笑)。
あまりにも説得に欠ける説明です。もはや言い訳にしか聞こえません。
政府教育機関の世界ランキング(2020年9月追記)
上位200校に入っているのは6年連続でこの2校のみだ。
ページはなくなりました - MSN
文科省の目標では、あと2年半以内に、上位100以内に10学を入れるとのこと。2020年に200位に入った大学が2つしかないので、今後は大変な苦労を強いられるでしょう。
冗談は置いて、文科省は目標を妄想と取り違えているわけです。政府教育機関の世界ランキングをしてみたら面白いと思います。
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