大学時代にやってほしいこと

大学生・大学院生のための文献調査・データベース調査

図書館
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大学生・大学院生のための文献調査・データベース調査

このページでは、大学生・大学院生のための文献調査方法をまとめています。想定する調査環境は、

  1. 大学図書館内の蔵書検索データベース
  2. インターネット環境下での他組織・他機関の蔵書・論文検索データベース
  3. 史料・資料検索データベース

の3点です。

文献調査の重要性

レポート、卒業論文、修士論文、博士論文などを書く場合、文献資料(おおむね書籍)は必須です。できるだけテーマに沿った文献を集めて、文献の傾向分けや内容の整理を行ない、最終的には論点を制していく必要があります。

そのような作業を行なう上で文献収集は大切な基本作業となります。それを可能にしてくれるサービスと利用方法をご紹介します。

その際、先の1と2を述べますが、1は主に図書・著書類の検索ができる一方で、2はそれら以外にも論文検索のできるサービスも紹介します。図書は大切ですが論文も大切です。

これらのデータベースをパソコンで検索することを念頭に置きます。スマートフォンでも多少の閲覧性は下がりますが、似たレベルでの検索を行なえるはずです。

大学図書館内の蔵書検索データベース

私の現在勤める大学から同志社大学の蔵書検索データベースを事例にお伝えします。

「同志社大学 図書館」のトップページへ行きます。すると次のような画面になります。

大学図書館の一例(同志社大学図書館ホームページ)

大学図書館の一例(同志社大学図書館ホームページ)

このうち赤線で囲った部分を拡大すると次のような画面になっています。

大学図書館検索欄の一例(同志社大学図書館ホームページ)

大学図書館検索欄の一例(同志社大学図書館ホームページ)

この検索欄のデフォルトは「本学蔵書・文献」タブで、「同志社大学の蔵書を検索」欄に入力できる状態です。ここに探している本のタイトルや著者名などを入れます。場合によっては「詳細検索」によって、アンド検索などの検索条件、図書・製本雑誌などのデータ種別、その他の検索オプションなども使います。

蔵書と電子資料を合わせた検索をする場合は「DOGS Plus」タブ、電子ジャーナル・電子ブックに絞る場合は「電子ジャーナル・電子ブック」タブをクリックして、標的を選んでください。

ここでは一例に「本学蔵書・文献」タブで「同志社大学の蔵書を検索」を行ないましょう。私の著書「ミシンの衣服の経済史」を入力してみます。

すると次のような検索結果が出ます。

大学図書館検索結果の一例(同志社大学図書館ホームページ)

大学図書館検索結果の一例(同志社大学図書館ホームページ)

書名の箇所にリンクが貼られています。これをクリックすると、本書の詳細情報や属性がたくさん出てきます。それが次の図です。

大学図書館検索結果の詳細情報の一例(同志社大学図書館ホームページ)

大学図書館検索結果の詳細情報の一例(同志社大学図書館ホームページ)

本書の情報から、同じ著者の別の本を探すなら一つ目の赤線内をクリックします。本書と似たテーマの本を探すなら二つ目の赤線内をクリックします。そうすることでテーマに合った本を複数探すことができます。

これらをまとめて借りる時は、「配架場所」「請求記号」「資料番号」などをメモした上で、あちこち本棚を移動して本を探す必要があります。

それは面倒ですから、パソコンのテキストファイルなどへ「配架場所」「請求記号」「資料番号」をコピペします。文献の数が溜まってくれば、請求記号順や資料番号順に並べ直して、近い場所の本をグルーピングしておくと本を探す時に便利です。

大学図書館内の蔵書検索データベースの使い方は以上です。

ちょっと不便なのは、雑誌論文を探したい時に、収載雑誌名と刊号を押さえておかなければ製本雑誌から探すことは難しいということです。論文をピンポイントでさがせる方法を次に述べます。

インターネット環境下での他組織・他機関の蔵書・論文検索データベース

ここでご紹介するのは「CiNii Articles」と呼ばれるものです。よく「サイニー」と略して呼ばれます。

トップページはこのようにシンプルで広いスペースを取ったものです。

「日本の論文をさがす」「大学図書館の本をさがす」「日本の博士論文をさがす」のサービスを提供するCiNii Articlesのトップページ

「日本の論文をさがす」「大学図書館の本をさがす」「日本の博士論文をさがす」のサービスを提供するCiNii Articlesのトップページ

「CiNii Articles」とは「日本の論文をさがす」のが主なサービスですが、「大学図書館の本をさがす」「日本の博士論文をさがす」も探すことができます。最上部の左端に論文、本、博士論文を探せるメニューがあります。それぞれ目的をクリックすれば、画面中央に相応の検索欄が出てきます。

論文検索

まず論文調査の方から話を進めます。検索欄を見てみましょう。

「論文検索」「著者検索」「全文検索」の3種類があります。論文検索は、検索用語を含む全ての論文がヒットします。「著者検索」は論文著者名がヒットします。それをクリックするとその著者が記した論文が一列に下方へ並んでいきます。「全文検索」は論文内容を網羅的に検索するものです。

「全文検索」は検索語句を含んでいるというだけで、あなたが探したい論文であるかどうかの判断はつき易いかもしれないし、つきにくいかも知れません。かといって「著者検索」をすると、同一著者のアイデンティティがあまり「CiNii Articles」では安定していないので、同一姓名の別人の論文結果がドカンと出てくる可能性もあります。

これらを使いながらもメインで駆使するのは「論文検索」です。これはテーマだけの検索結果ですが、検索語句を2つ3つと入れることで、読みたい・読むべき論文を探すには一番の近道になります。

ためしに「論文検索」で「ミシン 近代」と入れてみますと、次のような検索結果を得られました。

「論文検索」で「ミシン 近代」と入れてみますと、次のような検索結果を得られました。

「論文検索」で「ミシン 近代」と入れてみますと、次のような検索結果を得られました。

ここから面白いことができます。検索結果一つ一つを見ると「J-STAGE」や「機関リポジトリ」と記されたオレンジ色のマークが付いています。これらは、インターネット上またはダウンロードしてから閲覧できるという記号です。「J-STAGE」や「機関リポジトリ」いずれも無料で会員登録なしでダウンロードできます。

これで読みたいや読むべき論文も意外に手元に呼びやすい便利な時代になりました。残る問題は、「CiNii Articles」に過去のすべての論文が掲載されているわけではない点と、「J-STAGE」や「機関リポジトリ」のオレンジ色マークが付いていないものはデジタル化されていないのでダウンロードできないという点です。

これらダウンロードできない論文も、多くは「CiNii Articles」に情報としては登録されていると期待して、いずれ現物を探すという目標メモをコピペで作ります。そして、その雑誌の収録されている製本雑誌がどの大学図書館にあるかを、突き留めます。

それを担うのが、同じ「CiNii Articles」の「大学の図書館の図書を探す」メニューです。(そうでしたっけ、ここは少し自信なし

図書検索

「CiNii Articles」の図書検索は、全国の大学の所蔵する図書を横断的に検索してくれる便利なサイトです。自分の所属する図書館に読みたい本がない場合、これを使って他大学から図書を自分の大学へ取り寄せることができる便利なサービスです。

具体的に書名を入力してみましょう。次のような検索結果が出てきます。

「図書検索」で「ミシンと衣服の経済史」と入れてみますと、次のような検索結果を得られました。

「図書検索」で「ミシンと衣服の経済史」と入れてみますと、次のような検索結果を得られました。

左側リンクの文字列が青い部分が「大学図書館所蔵」の大学リストです。その行の右端を見ると「OPAC」のボタンが活きている場合は緑色、死んでいる場合はグレー色になっています。

自分の大学の緑ボタンを押しても他大学のものを押しても、各大学の図書館の検索結果がそのまま出てくるという優れ物。

もし自分の大学に必要な本が置いてない場合は、自分の大学で図書借用依頼をしてもらい、図書館が依頼した他大学図書館からの図書到着を待ちましょう。論文についても複写依頼をできるはずです。先方で行なったコピーの代金を支払うが必要になりますが。

史料・資料検索データベース

3点目は歴史史料や経済統計など、データそのものを探し出せるデータベースについて説明します。

これまでお話したデータベースは何らかの史料や資料を用いて論点を出した論文や著書を検索するものでしたが、こちらは、それらよりもロー・データ(生のデータ)もしくはそれに近いものを検索するサービスをご紹介します。

国立国会図書館デジタルコレクション

日本語で調査するには、まずは国立国会図書館デジタルコレクションをお勧めします。このデータベースは次のようなものです。

国立国会図書館で収集・保存しているデジタル資料を検索・閲覧できるサービスです(収集・保存したウェブサイト、CD/DVD等のパッケージソフトは除く)。

出典 http://dl.ndl.go.jp/ja/intro.html#idx1

戦前期に刊行された日本語著書はすべてデジタル化されており、これらは数年前まで「近代デジタルライブラリー」として独立に公開されていました。戦前期の本を扱う古書店が不要になるというインパクトがありました。このデジタルライブラリーもデジタルコレクションに含まれています。

他にもいろんなデータベースが行政・官公庁、地方自治体、大学などを拠点に公開されているので、積極的に使うことをお勧めします。

私の研究に関するデータベースで量的にも内容的にも面白く、多用させて頂いたのは次のようなものです。

アジア歴史資料センター

この資料館は次のような特徴をもちます。

国立公文書館、外務省外交史料館、防衛省防衛研究所から、デジタル化されたアジア歴史資料(近現代における日本とアジア近隣諸国等との関係に関わる日本の歴史的な文書)の提供を受け、データベースを構築してインターネットを通じて公開しています。

出典 https://www.jacar.go.jp/

なかでも防衛省防衛研究所の戦時期衣料品関係の資料を2冊目の著書の一部で多用しました。

身装画像データベース<近代日本の身装文化> – 国立民族学博物館

また、画像データベースもたくさん存在します。そのうち1つだけご紹介します。メモ欄に鋭い考察もあるので、近代日本の衣生活を知るのにお勧めです。

このデータベースの特徴は次のとおりです。

和装と洋装が拮抗したダイナミックな期間である明治維新(1868年)以降、第二次世界大戦終結(1945年)までを対象として、その文化変容の様子をデータベース化しています。当時の新聞小説挿絵、写真、図書中の図版、ポスターなどで構成されており、とくに新聞小説挿絵は、写真には収められていないような身装(下着姿や寝間着姿)、および各階層の日常生活の情景が生き生きと活写され、その信憑性は高く、当時の様子を知る格好の画像情報です。

出典 http://htq.minpaku.ac.jp/databases/mcd/shinsou.html

画像、出典元、コメント・メモなど多様な情報を得られます。

全項目、タイトル、制作者、年代、コメント、身装画像コード、キーワードのいずれかに気がかりな言葉を入れたり選択したりして使います。

終わりに

このページでは、大学生・大学院生のための文献調査方法をまとめました。

  1. 大学図書館内の蔵書検索データベース
  2. インターネット環境下での他組織・他機関の蔵書・論文検索データベース
  3. 史料・資料検索データベース

の3点とも分かりやすかったでしょうか。

文献調査は以上で完璧ではありませんが、おおむね8割ほどの作業はこれで十分な気がします。膨大な図書や論文から自分に必要なものを選択するのは、検索だけでなく、借用やダウンロードしてからも行ないます。

そのためには、上述した方法を駆使して膨大な量の本と論文を手元に置いてみる必要があります。その上で、読むべきものや読みたいものをさらに絞り込むという作業が、あとあと役立ってきます。

大学生・大学院生のための文献調査方法は以上です。知識と教養と勘と論点を同時に磨いていってください。

補遺:データベースと歴史研究

ここからは、データベースの発展と歴史研究の停滞というジレンマについて、あれこれ思ったことを書いています。21世紀に歴史研究をする意義について、少し思いを巡らせています。

データベースの普及

データベースの普及はアクセスが便利になった反面、研究者や大学教員以外でも研究ができる状況が広がってきて、研究の個別性を出すのが非常に難しい状況にはあるように思います。

ライバルが参入しやすくなってますが、資料調査のツメの甘さはどこか一般研究者に多いように思います。といってもベテランの教員研究者は歴史研究の醍醐味を失っている気もしますが。

だから、研究業績数は減らしても、一撃の破壊力あるように研究するしかないのかなぁ、今後は、と思います。どんだけやっても史料が猛烈に多いのでキリがありませんし。

暇つぶしとしてのデータベース利用

他方で暇つぶしとしてのデータベース利用は、次のように感じます。データベースは各国の国史の人たちが主に頑張ってきたと思います(頑張ったから良いというわけじゃない、後述)。私の立場はデータベースを作成する側ではなく利用する側として位置づけられるので、データベースをたっぷりと使うというのが今後の研究生活の指針になるかなとは思ってます。

私自身は自分勝手にやってきただけですが、今後は関心のあるテーマでデータベースを見つければやっぱり関心のあるまま論文書いていきたいとも思います。一撃の破壊力を今後生み出すのは自信がありません。

データベースは立派な史料・資料

今回私の出した本では先行研究がひたすら駄目だというふうにまとめました。先行研究に依拠した研究が今後必要だという風には私は思いません。データベースをたっぷりと使うというのは一つの方法になるかなと思います。

国史の人たちがバカだと思うのは、データベース化された資料に価値はないというふうに考える点です。あくまでもオリジナルな一次資料、特に手書きなどの資料を重視して論文を書くというスタイルを彼らは取っています。

でもデータベース群に依拠しても、資料が良かったりまとめ方が良かったりすればそれは立派な論文です。国史の人たちは仕事のためにデータベースを作った反面で、自分たちの研究のためにはデータベースを活かさないというようなやり方をしてます。もったいない。

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