
50歳になった2020年にセカンドライフを考えていこうと思い、2021年1月から日本語教師養成講座に通いはじめました。この記事では講座の復習をかねて、とくに面白かったトピックについてネットや文献を調査したことを記事にしています。日本語教員資格の取得をめざしている方や語学教育に関心のある方と繋がれれば良いなぁと思っています。
パリ – モダニティの首都:2月17日

デヴィッド・ハーヴェイ パリ モダニティの首都 大城直樹 遠城明雄 青土社
ボイスレコーダーで、つい喋りすぎる…。先に奥付を。
- デヴィッド・ハーヴェイ
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- 遠城明雄
- 青土社
タイトル
この本はアメリカの地理学者デヴィッド・ハーヴェイが書いたパリの近代史です。サブタイトルに「モダニティの首都」と書かれています。
フランスの首都ではなくモダニティの首都と書いたヒントは、ヴァルター・ベンヤミンというドイツの批評家のモチーフ「19世紀の首都パリ」という論文からヒントを得てるはずです。
ですから単にパリの近代史を述べているのではなく、それを通して近代化を考えようという意思が分かります。が、くどいです。
くどい本なので内容を簡単に紹介
この本はパリの下層社会がどれほど分厚い層で構成されていたとかを述べています。ハーヴェイの本はくどいので、私はこの本もつまみ食いしかしてません。
アパレルの下請業者たちが劣悪な労働条件のもと、ミシンの導入によって産業構造を変えさせられた点がよくわかります。ミシンを使うアパレル業者の縫製工たちも同じような労働条件だったは皮肉です。労働者は解放されなかった…。
辛うじて輝く1枚の画像資料:都市とは女性
繰り返しくどく言いますが、非常にくどくて分厚いです。本文が420ページほどで脚注が30ページほど。
この本の中で一番輝いてるのは339ページの図94です。
この本は下層社会を取り上げたとだけでなく、パリまたは都市を女性として捉えているのが優れています。この点はゴダールの「彼女について私が知っている二、三の事柄」をヒントにしたような具合。
かつてフロイトは経済学と家族構造を比較して考えました。父たるものが資本であり母たるものが土地だと捉えました。そこに出てくるのが子供つまり労働力です。この分析が非常に引っかかって私は随分と長い間、土地と女性、資本と男性という関係を考えてきました。
それに応えてくれたのがこの本であったと思います。
339ページにはイラストの説明として次のように書かれています。
パリはしばしば女性として表象される。ここでは縛り付けられ、無数の建設労働者たちが群がったものとして描かれている。
これまで紹介してきた山田登世子や、紹介していない鹿島茂といったフランスの文化史の人たち、彼ら彼女らの書いた19世紀フランスまたはパリのモード誕生のような歴史とは違って、モードの歴史を支えた土台について書いてる点で、高く評価できます。

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